厄介な水田雑草は、深水管理や水稲用除草剤などでスパッと防除しよう

厄介な水田雑草は、深水管理や水稲用除草剤などでスパッと防除しよう

水田に生えてくる雑草、水田雑草。稲から養分や光を横取りしてしまい、水田雑草が多発すると稲の品質を大きく低下させます。水草などの通常とは違う雑草が多くみられますが、除草剤は効くのでしょうか。

また、除草剤をまいたら稲まで枯れてしまわないのかなど、水田雑草を取り除きたいものの駆除方法が分からない方は多いことでしょう。このページでは水田に生える雑草の種類、そして雑草に合わせた除草剤の使用方法を紹介させていただきます。

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目次

「水田雑草」にはどんな種類があるの?

除草を試みる前に、どんな水田雑草が生えているのかを知らなければなりません。まずは水田雑草を大きく分けた2つの分類について、解説していきます。

一年生雑草と多年生雑草の違い

水田雑草は繁殖方法によって分類することができます。一年生雑草は種子によって繁殖する水田雑草です。土壌の表面付近で発芽するため防除しやすいのですが、土壌中の種子は長期間生存ができるため何年にも渡って発生します。タイヌビエにコナギ、ミズアオイやアゼナなどが一年生雑草に分類されます。

一方多年生雑草は、種子だけでなく地下茎(ちかけい)や塊茎(かいけい)によって繁殖します。真夏や冬に地上に出ている部分が枯れてしまっても、土の中に地下茎や塊茎を残しているため生き続けることが可能です。生育も早く、地上部が大きくなると匍匐茎(ほふくけい)や地下茎を伸ばして増殖を始めます。

地下茎や塊茎からは数か月にも渡って出芽するため、初期に除草剤を散布しただけではほとんど除草できません。イヌホタルイやクログワイ、シズイにコウキヤガラなどが多年生雑草です。

防除しにくい雑草が存在する!

雑草の防除は初期の段階から除草剤を使用する必要があります。しかし通常、除草剤では対処しきれないものや初期段階を見逃しやすいものなども存在します。イヌホタルイなどの、種子により発生するものの、発生初期が小さく見逃しやすい水田雑草も防除しにくい雑草です。

オモダカやクログワイ、シズイなどは、深さ20cmの土中からも出芽できるため除草剤の効果を大きく受けず、薬剤の効果が切れかけたころから順次出芽してきます。また、ウリカワやコウキヤガラなどは複数の芽を持ち、一度の除草剤で芽が枯れても、順次ほかの芽が生えてくるために防除がしにくい雑草です。

特にクログワイは深さ30cmの土中からでも出芽でき、複数の芽を持っているため非常厄介です。ほかにも除草剤に耐性を持つものも見つかっています。

水田雑草は「水稲用除草剤」で除草しよう!

水田雑草は「水稲用除草剤」で除草しよう!

水田雑草に対しては通常の除草剤ではなく「水稲用除草剤」を利用します。稲も植物ですが、どうして稲には除草剤の影響を与えないのか、そして防除しにくい水田雑草への対処などもあわせて解説させていただきます。

水稲用除草剤の種類

水稲用除草剤には初期剤、中期剤、後期剤、一発剤といった分類が存在します。それぞれ使用する時期の目安があり、効果や効力が違うため注意が必要です。

初期材は主に芽や根、茎などが細胞分裂によって生長する部分、生長点を阻害する効果があります。発芽した雑草の芽に薬剤が接触し、生長をすることにより効果を発揮するのです。そのため田植え7日前からノビエの葉が1枚地上へ出てくるころまで使用されます。

中期剤は初期剤を使用した後の、雑草生育初期に使用されます。その後まだ雑草が残っている場合、稲の茎が最大まで増えたのちに使用して処理するためのものが後期剤です。一発剤は初期一発剤や初中期一発剤などがあり、それひとつで幅広い雑草に効果がある上、効力が比較的長期間持続します。

ちなみに水稲用除草剤の使用時期は、生えてきたノビエの葉の枚数で表されることがよくあります。ノビエとはタイヌビエやイヌビエ、ヒメイタイヌビエなどの雑草ヒエのことを示し、1枚目の葉が伸び切るころが1葉期です。

ノビエの生育速度は気温などでも変わってしまうため、水稲用除草剤にノビエの葉器が表記されている場合は、地方ごとの設定された目安を確認しましょう。

稲まで枯れてしまわないの?

除草剤を使用する際に一番気にするポイントは、稲への影響でしょう。現在一般的な水稲用除草剤は「湛水土壌処理剤」といい、土ではなく溜まった水に溶かしこんで薬剤の層を作ります。そのため発芽を終えており生長点が地中の根や水上の葉にある稲には効果がないのです。

そのほかにも、稲には影響がない成分や稲には分解可能な成分の除草剤を使用することで、稲への影響を出さずに雑草のみを枯らすことが可能となっています。

防除しにくい雑草は除草剤を組み合わせて使おう!

水田雑草の防除は現在、初中期一発剤を使用し、1回のみで処理を完了することが主流になっています。しかし、初中期一発剤のみでは防除しにくい雑草がいくつか存在するため、それらにあわせて除草剤を組み合わせる必要があるのです。

コウキヤガラの発生する水田では初期剤を使用し、稲を移植してから1月ほど経過したのちに再度、初中期一発剤か中期剤で処理する必要があります。それでも防除しきれなかった場合はコウキヤガラに有効な後期剤を使用して処理しましょう。

オモダカは土中深い位置からも塊茎より発生することが可能なため、初中期一発剤のみでは種子と浅い位置のものしか処理ができません。オモダカに有効な初期剤を使用し、代かきをおこなった1月後に初中期一発剤や中期剤を使用、その後も発生がある場合はオモダカに有効な後期剤で防除します。

クログワイは発生時期が6月下旬ごろと遅いため、初期剤の効果がほとんど期待できません。初中期一発剤でも処理時期が早いと効果が低くなるため、移植後10日ほどで使用し、移植から30日ごろでクログワイに有効な中期剤を使用します。

しかし土中深くの塊茎からも発生するクログワイの発生は10下旬まで続くこともあり、その場合はクログワイに有効な後期剤を使用して防除します。しかしいくら今年の発生を防いだとしても、クログワイの塊茎の寿命は5~7年とされており、来年も発生してしまうことでしょう。

そのためクログワイの本格的な防除は稲を収穫した後におこないます。稲のために使用を控えていた効果の強い除草剤を使用し、塊茎まで枯らしてしまいましょう。すべて駆除しきることは難しいものの、翌年の個体数を減らしていくことで、数年後には退治を完了させるべく処理をおこないます。

水稲用除草剤の効果を最大限に活かすには

水田用除草剤を活用するためには使用時期を間違えてはなりません。薬剤の説明書やラベルに書かれた時期を確認し、用法を守って処理しましょう。また、湛水処理ですので水田から水が流れ出てしまったり、雨が降るなどによって薄まったりすると効果が薄れてしまいます。

水田と水田とのあいだには、区画を決めて泥土によって水漏れを防ぐ役割をする土手である畦畔(けいはん)があります。除草剤の効果を最大限に活かすには、畦畔(けいはん)からの水漏れを防ぎ、給水などで薄めてしまうことをせず、雨の前や風の強い日の散布は控えましょう。

さらに、田面の凹凸をなくすことで均等に薬剤の処理層を作ることができるため、丁寧な代かきも大切です。

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水田雑草に除草剤を散布するときの注意点!

水田雑草に除草剤を散布する際に気をつけなければならないことがいくつか存在します。守らなければ思った効果を得られないどころか稲を枯らしてしまうこともありますので、十分に注意が必要です。

使用する除草剤に合わせた使用方法を守りましょう

除草剤には使用方法がいくつも規定されており、よく理解して使用しなければ作物に被害を及ぼしてしまいます。たとえば稲の移植から10日後に散布を指定されている薬剤を移植直後に使ってしまえば、根を地中深くに潜らせることのできていない稲にも作用し、生長を止めてしまいます。

逆に稲への薬害を過度に心配して除草剤の散布を遅らせてしまうと、雑草が十分に育った後になってしまうなど、本来の効果を得られないおそれがあります。除草剤ごとに使用時期がラベルなどに記載されているので確認してください。

薬剤にも粉末状の粉剤や液体状のフロアブル剤といった水になじみやすい水和剤、ジャンボ剤などの細粒である粒剤や豆つぶ剤など、いくつか分類が存在します。型の違いによって、量や使用方法が変わってくるため、散布方法の確認のためにも記載事項をよく読み理解しましょう。

田んぼの水をしっかり管理しましょう

畦畔からの水漏れを防ぐことは、前の章で述べた除草剤の効果を最大限に活かすためのみではなく、河川など外に流れ出ることを防ぐことにもつながります。環境への影響を考え、少なくとも散布後7日間は水田の水が流出しないよう、止水処理を施しましょう。

もちろん、薬剤流出の原因は水漏れのみではありません。強風時には散布せず、方向や位置に気をつけて処理します。また、飛散低減ノズルや飛散防止カバーを使用することで、薬剤が飛散することを防ぐことが可能です。

水田雑草を農薬を使わずに抑える方法

水田雑草を農薬を使わずに抑える方法

農薬に頼らずに水田雑草を防除することができれば、薬剤の影響を気にすることなく安全に作物を消費することができます。その上栄養価が高く、作物本来の味を楽しめるといったことから、無農薬栽培には一定の需要があるのです。農薬を使わず水田雑草を抑える方法は、主に3種に分類されます。

耕種的防除法

耕種的防除法とは栽培方法や環境条件などを適切に選択し、水田雑草や害虫が発生しにくい条件を整えるという防除法です。一例として、水田の水深が20cmになるよう管理することでノビエがほとんど生育できなくする、水深管理という方法があります。

ノビエには、移植前に2週間以上の間を空けて2度の代かきを行い、1度目の代かき後に発生した雑草を土中に埋め込んで発生数を減らす2回代かきという方法も効果があります。しかし上記の方法はクログワイやオモダカ、アゼナ、キカシグサ、ミゾハコベなどの水田雑草には効果が薄い防除法です。

クログワイオモダカには、秋期、冬期に水田を耕すことで、ある程度の防除効果が見込まれます。刈り取り後に耕すことで残草している多年草雑草が繁殖体を作ることを防ぎ、冬期に再度耕すことで、地中の雑草を低温と乾燥にさらし、死滅させるのです。

また、アゼナキカシグサミゾハコベなどは、冬季に水をためたままにしておく、冬期湛水という防除法の効果があります。雑草の発芽を抑えるほか、水鳥が種子を食べることによって一定の防除効果が見込めるのです。

ほかにもオモダカなどの一部の水生植物には、稲や麦や大豆などの2種以上の作物を順に作付けしていく田畑輪換栽培という方法も有効です。

物理的防除法

物理的防除法では、機械や器具を利用して水田雑草を防除する方法です。代表的なものとしては除草機によって雑草を取り除く、機械除草が挙げられます。稲の並ぶ列の間にできた雑草は効果的に取り除くことができるものの、稲を倒さないようにする必要性から稲の近くや稲同士の間には雑草が残りやすい方法です。

地面から発生する雑草には、稲の移植時に再生紙を貼りつけることで発生を抑える、再生紙マルチという方法が効果的です。近年では再生紙を張りながら移植する田植え機も市販されています。また、布や再生紙に直接貼りつけた稲を育てて水田上に貼りつける、再生紙マルチ直播栽培、布マルチ直播栽培という方法もあります。

活性炭を液状にして流し込むことで水を黒く濁らせ、遮光することによって防除する活性炭マルチは、紙マルチよりも効果は抑えられてしまうものの手軽な散布方法が魅力です。

生物的防除法

水田雑草に対する生物的防除法は、主にアイガモを利用した防除法のことを指します。水田にアイガモを放し、雑草を食べさせることで防除します。また、アイガモが動き回ることで土が撹拌(かくはん)され、刺激された根の費用分の吸収がよくなるといったメリットもあるのです。

しかし野犬等に狙われたりアイガモに脱走されたりしないよう、柵やネットを張る必応があります。また、大きくなると稲を倒してしまうだけでなく垂れてきた稲穂を食べてしまいます。そのため翌年への使いまわしができず、食肉として毎年処分する必要があるでしょう。

農薬を使用しない方法の注意点

いくつか防除法を紹介させていただきましたが、除草剤の散布と同じく、1つの方法ですべての水田雑草を防除することは困難です。発生する雑草に効果のある防除法を選択し、組み合わせる必要があります。

また、1年目は防除できていたものの、翌年以降は次第に雑草が増え、防除が困難になることも多くあります。これらの方法だけでなく、残草したものは可能な限り手で取り除くことで、翌年の発生を抑えましょう。

無農薬にこだわる目的が有機JASマークの認定を得るためであった場合は、農薬を使わないだけでなく使用する資材や肥料にも配慮が必要です。再生紙マルチや有機質肥料など、何か使用する際は必ず、有機JASマークの登録認定機関に確認を取るべきでしょう。

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畦畔部(けいはんぶ)に生えている雑草はどうしたらいい?

ここまでさまざまな防除法をお伝えしてきました。じつは、すべて取り除いてはならない雑草も存在します。実は畦(あぜ)に生えている雑草は、根によって畦の土を抑え、崩れを防止しているのです。そのため、畦で使用する除草剤を選ぶ際は、雑草への効力以外にも考慮しなければならないポイントがあります。

「接触型除草剤」を使用して除草する

浸透移行型除草剤」のように茎葉や芽に散布するだけで根や生長点まで枯らすことのできる除草剤では、畦を崩してしまうおそれがあります。そのため「接触型除草剤」という、直接散布され接触した箇所のみに効果を発揮する除草剤を使用し、畦の中の根を残す必要があるのです。

草刈り業者に依頼をする

除草剤は適切に散布するための機器が必要であり、稲にかからないようにするなどの注意事項がいくつかあります。機器がない、使用が難しい、そのほかにも薬剤の使用をできる限り抑えたいという方には草刈り業者に依頼をするという方法があります。

実際に畦の草刈りをしなければ、雑草の種類や害虫が増え、やり過ぎてしまうとイネ科雑草が増えて生長してしまうのです。草刈りのしすぎを防ぐためには高さ10cmほどを残す、高刈りという草刈り方法をおこなう必要があります。しかし、人手不足や傾斜での作業などからからから草刈りが困難なケースも多いでしょう。

そういった際は草刈り機や専用の畦草刈機によって手早く作業していただける、草刈り業者に頼むことも検討してもよいでしょう。草刈り業者の中には、除草剤の散布や除草シートを張る作業などもお任せできる業者もあります。

まとめ

作物の養分や水分、日光などを奪い、作物の品質や収穫量を低下させてしまう雑草は適切に駆除・防除しなければなりません。ただし、稲への影響を考えて除草剤を使用する必要があり、一度の処理で取り除くことは困難です。さまざまな方法を組み合わせ、数年かけて雑草を減らしていきましょう。

また、駆除・防除を実践する際は雑草の種類にあわせて方法を選択します。ラベルや袋の注意書きや効果のある対象などを必ず確認し、時期や量を間違えずに処方することが大切です。

もし雑草の処理に困っても薬剤の使用を控えたいと考える場合は機械の購入や草刈り業者も検討してみてはいかがでしょうか。特に畦の草刈りは手作業では難しく、刈り取った草が水田に入ってしまうなど、機械を使用するには技術が必要です。自分で難しいようでしたら、畦の草刈りだけは業者に頼むというのもおすすめです。

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